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2025.11.17

巨大スタジアムを支えるロボットたち

Rスタジアムにおけるスマートメンテナンスの実現

■導入背景:清掃品質と労働力不足の両立が課題に

全国有数の大型スタジアム「Rスタジアム」では、野球試合やコンサートなど年間を通じて多くのイベントが開催されています。


 試合後は数万人の観客が一斉に退場するため、短時間で広大な清掃範囲をカバーする高効率なメンテナンス体制が求められていました。


一方で、作業時間は深夜から早朝にかけての限られた数時間。


 人材確保が難しく、現場では「清掃人員の確保」「作業品質の維持」「コスト上昇」の三重苦に直面していました。


従来は複数の清掃チームが人力で作業を分担していましたが、範囲が広すぎるため完了報告の遅延や品質のばらつきが発生。


 「効率化のためにロボットを導入したいが、広い動線・段差・通信エリアの制約など、スタジアム特有の環境が障壁になっていた」と運営責任者は語ります。



■課題:多種多様なロボットが同時稼働する“渋滞”の発生

試験導入の段階では、複数メーカーの清掃・運搬ロボットを導入しましたが、それぞれ独自のシステムで稼働しており、動線の重複や通信干渉によってロボットが立ち往生する事例が相次ぎました。


特に、コンコースやスタンドなどの人の動線とロボットの走行ルートが交錯し、清掃完了率が安定しない状況に。


 「ロボット導入=効率化」ではなく、運用面での最適化が鍵であることが明確になりました。



■導入プロセス:BILLMS × RMF による統合運用へ

株式会社ビルポは、これらの課題を踏まえ、現場設計から運用支援までを一貫して支援しました。

まず、現地調査をもとに清掃エリアをゾーニングし、ロボットの種類・サイズ・稼働時間・充電動線を最適化。


 小型ロボットによる細部清掃から、湿式・乾式清掃ロボット、ゴミ搬送AMRまで、計84台のロボットを組み合わせて運用しました。


さらに、これらの異なるメーカー機を**RMF(Robotics Middleware Framework)**を通じて統合。


 ビルポ独自の群管理プラットフォーム『BILLMS(ビルムス)』と連携させることで、稼働状況・充電ステータス・異常検知をリアルタイムでモニタリング可能にしました。


また、運用データを自動収集してクラウド上で可視化し、清掃完了率や稼働効率を日次レポート化。

 これにより、従来は現場責任者が手作業で行っていた報告作業が完全に自動化されました。


■成果:ロボット完了率90%超、作業時間を30%削減

導入から2か月後、Rスタジアムでは以下の成果が明確に現れました。

ロボット清掃完了率:平均90%以上(一部機種では95%超)



人員配置コスト:30%削減



清掃時間:平均2.5時間短縮(試合後清掃)



不具合報告件数:導入前比60%減



また、PoC(概念実証)中には、ロボットごとの動作安定性・環境適応性・清掃効率を細かく比較し、

 メーカーと共同でソフトウェア更新・マッピング調整・走行経路の最適化を継続的に行いました。


特に「Gazebo(ガゼボ)」を用いた3Dシミュレーション検証では、

 現場導入前に複数ルートを仮想環境で検証し、走行ミスやバッテリー切れなどのトラブルを事前に回避。


 現場に合わせた“カスタマイズ型運用”を実現しました。



■今後の展望:ロボットが“働くチーム”になる未来へ

Rスタジアムでは現在もBILLMSを活用し、定期的に稼働データを更新しながら運用改善を継続中です。


 今後は、清掃に加えてゴミ搬送や備品配送など、物流領域へのロボット拡張を検討しており、 将来的にはエレベーター・自動ドア・照明制御との完全連携による「スタジアムオペレーションの自動化」を目指しています。


株式会社ビルポ 代表取締役・稲垣太一氏は語ります。


「我々の目標は、単にロボットを動かすことではなく、“人・ロボット・空間”を一体化した設計を行うことです。


 スタジアムのような広大な現場こそ、RMFとBILLMSの真価が発揮されます。

 労働力不足を逆手に取り、よりスマートで持続可能な清掃オペレーションを実現したい。」


■まとめ

Rスタジアムの事例は、単なるロボット導入にとどまらず、「設計・システム・運用」が三位一体で機能するDXの象徴です。


現場の人手不足・業務負荷・清掃品質の課題を解決し、 “人とロボットが共に働く現場”を実現したこの成功事例は、 あらゆる大規模施設の未来に大きな示唆を与えます。